「ニッチャー」という言葉をご存じでしょうか。
経営における「ニッチャー」とは、大手企業が参入できないほど特殊な需要に特化したサービスを提供する企業のことです。西洋の建築用語で壁の凹みを意味する「ニッチ」が、隙間という意味で使われるようになったことがきっかけです。今回は中小企業とニッチャーという言葉の切っても切れない関係について、コンビニ業界を例に話していきます。
最大手と呼ばれるシェア1位の企業は、あらゆる業界に必ず存在しています。経営学ではこの企業を「リーダー」と呼びます。リーダーは大規模な経営資源を持ち、価格設定権や顧客からの認知度において優位性を持っています。コンビニ業界でいえば、セブンイレブンがこれに当たります。
リーダーに追い付き、追い越すことを目標とした戦略のもとで経営している企業群を「チャレンジャー」と呼びます。リーダーにはやや劣りますが、業界でも指折りの地位に属しており、顧客にもある程度認知されています。コンビニ業界で言うところの、ローソンやファミリーマートです。
ちなみに、後で述べるニッチャーには当てはまらず、チャレンジャーに追随する企業群を「フォロワー」といいます。経営上の視点で言えば、フォロワーはあまり好ましい状態とは言えません。経営資源を増強するか、ニッチャーのような独自市場の展開を急ぐ必要があります。
そして、業界内での地位は上で述べた2つほど高くはないものの、独自の市場を開拓し、一部の顧客に根強い支持を受けている企業群が「ニッチャー」です。コンビニ業界で言うところのセコマ(セイコーマート)がこれに当たります。セコマは北海道という限られた市場の中に経営資源を集中し、今や北海道における店舗数は2021年12月時点で1084店舗に上ります。2位のセブンイレブンが1001店舗であることからも北海道の市場での圧倒的な強さが分かると思います。
ではなぜ北海道のコンビニ業界において、セコマは1位を取ることができるのでしょうか。理由はここで触れられないほど多くあります。店内料理で出来立てのおいしさを届ける「ホットシェフ」という取り組みや、惣菜品目の豊かさ、サプライチェーンの工夫によるコスト削減など、数多くの取り組みを講じ続けた結果、地元住民の確固たる信頼を勝ち取っています。
中小企業が大企業を相手に、規模や価格で競争することは困難です。生き残っていくためには、セコマのようなニッチャーとしての戦略をとる必要があります。中小企業の生きる道は「ニッチャー」なのです。
中小企業が生き残るには、他企業との差別化を図り、自社にしかできないサービスを提供することが大切です。
商品そのものだけでなく、接客やアフターサービスなども含めた全体を通して自社サービスの改良を続けると、独自の地位を得ることができます。また、その独自性を顧客に上手く伝えることができれば、企業のさらなる収益につながるでしょう。
他社の模倣が困難な複雑なシステムの構築を意識する必要があります。
私も中小企業よりも更に規模の小さな小規模企業者として生き残っていくために、商品・サービスの差別化、そして、新たな販売方法など模索中です。